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家具の手入れ方法

2018.05.25|コラム

湿気は禁物

木材は湿気を含むと膨張します。
精巧な造りの家具は、梅雨時などには引出しがかたくなり、内部に湿気が入るのを防ぎます。
しかし、あまりにも湿度が高い部屋では、引出しが開かなくなったり、家具の裏側にカビが生えたりします。
特に、コンクリート造りのマンションなど、最近の住宅は気密性が高いので湿気が溜まりやすい構造になっています。
こうした場所では、壁から家具を少し離して設置し、通気性を良くして下さい。
また、晴れた日には窓を開け、時には家具の内部も開けて乾いた空気にふれさせましょう。

必ず水平に設置!

扉の閉まりが悪くなったり、引出しがかたくなる原因の大半は、家具の〝ねじれ〟によるものです。
開閉状態が悪いまま長い間使うと、蝶番や取っ手が壊れます。
ほとんどの床は、微妙な傾きや高低があるものです。
特に、畳の上に家具を置くと重みで少しづつ沈み、僅かながら傾いてしまいます。
もし、僅かでも傾いていたら、板切れや新聞紙などをあてがって水平になるよう調整して下さい。

扉に段差がつけば、まず水平を調べて下さい。

転倒防止の対策

背の高い家具は、強い地震や子供がよじ登ったりすると転倒してケガをする場合がありますので、転倒防止の対策をされることをお勧めします。

  • 家具の上下が分離するタイプは、上側が倒れ落ちることがありますので、必ず付属の連結金具やジョイントボルト等で上下を固定してください。
  • 万一に備えて家具を建物に固定してください。
    転倒防止の固定金具には、L型金具やベルト式、ワイヤー式など各種のタイプがホームセンターなどでも市販されていますが、壁面の状態によっては取付け強度が確保できないことがありますので、状態に応じ適切な金具を選んでしっかりと固定してください。
  • この他、家具の耐震金具として、振動で扉や引出しが勝手に開くのを防ぐ開放防止金具や、棚から収納物が落ちないようにする落下防止金具、割れたガラスでケガをしないようにする飛散防止フィルムなどがあります。

汚れの手入れ方法

塗装のもの
柔らかい布で乾拭きして下さい。
汚れがひどい場合は、うすめた中性洗剤を浸した布で汚れを落とし、その後、乾いた布で拭いて下さい。ワックスや化学雑巾は使用しないで下さい。
塗料が化学反応を起こし、くすみや変色するおそれがあります。

白木のもの (桐タンスなど)
柔らかい乾いた布で、軽くホコリや汚れをぬぐうように拭いて下さい。
水分や油分は禁物です。表面に跡形が残ります。

表面に傷が付いた時

引っかき傷程度の小さなものなら、同色のクレヨンかマジックを塗ると目立たなくなります。
また、クレヨン状の傷隠し専用材も市販されています。
色数が豊富なうえ、使い方も簡単なので大変便利です。

引出しがかたくなった時

湿度が高くて木が膨張した場合と、“ねじれ”による場合があります。
まず、水平に設置してあるか確認してください。
僅かでも傾いていたら水平になるよう調整して下さい。
それでもかたい場合は、引出しを抜いて風通しのよい場所で1~2日陰干し、すれ合う部分に固形石鹸か石ロウを塗って下さい。
ただし、ロウソクのロウは塗ってはいけません。
また、サンドペーパーで磨いてみるのも一つの方法です。

カビが生えた時

最近の住宅は、昔の家屋と比べ床下が低く、またアルミサッシの普及などにより部屋が密閉状態に近いことから、 湿気が溜まってタンスの裏側などにカビが生えるケースが多くなっています。
また、新築された家の壁にはかなりの水分が含まれており、ある程度乾くまで4~5年は要すると言われています。
特に、コンクリート壁は温度差が生じると結露するので、湿度が低い冬場でもカビが生えることがあります。
こうした部屋では、必ず壁から15~20cm程度離して家具を設置して下さい。
もし、カビが生えた場合は、家庭用カビ取り剤(主成分=次亜塩素酸ナトリウム)を水で薄めたものを布に 浸して拭き取って下さい。
なお、カビ取り剤の濃度はカビの色により、白っぽいものは濃度を薄く、緑や黒っぽいものは濃度を濃くしてお使い下さい。

困った時のQ&A

家具を使用していて困ったことや手入れ方法などをメールでご質問いただきましたが、 その中からいくつかをQ&Aにまとめましたので参考にして下さい。

引越しの際に家具を移動させたら、洋服タンスの左右の扉に段差が生じ、開け閉めする際に扉と本体がこすれ合うようになりました。どうすればいでしょうか。

これは、家具を設置した場所が水平でなく、タンスの本体が微妙に歪んだためで、業界では「寝置きが悪い」と言います。
直し方は、先ず、タンスの右上又は左上の角を手で押してみます。
どちらかの角を押すと扉の段差が無くなります。
つまり、その下側が低くなっていますので、床と家具の間に板切れ又は厚紙などを挿入して扉の段差が無くなるように調整すれば直ります。

家具が届いたのですが、かなり嫌な臭いがします。
シックハウス症とか心配です。何か改善策があったら教えてください。

家具から発生する臭いは、大きく分けて3つあります。
先ず、一つ目は、接着剤 (当然、合板やボード類には大量に含まれています。) から発生するホルムアルデヒドです。
これは、時間が経つと蒸発して臭いは無くなります。温度が高いと早く蒸発しますが、その際はよく臭います。
最近は、ホルムアルデヒドなどVOCの発散を抑えた家具が多くなっています。
次に臭うのは、自然塗料の臭いです。これは、天然素材が原料なので人体への害は無いと思いますが、塗り立ての時は臭いがかなりきついものもあり、完全に臭いがなくなるまで長期間かかるのが難点です。主に、無垢板のクラフト的な家具に最近よく使われています。
これらは、① ② は風通しを良くしておくと早く臭いが消えます。
もう1つは、木材から発生する臭いです。ヒノキなど芳香な材もありますが、嫌な臭いがする木材もあります。また、クスノキのようにチョッと嫌な臭いでも防虫効果があるものもあります。これら木材から発生する臭いは、年月が経ても完全には消えません。
以上、どの臭いかがわかりませんが、参考にして下さい。

カビが生えるのは梅雨時期だけと思っていましたが、冬場なのにタンスの中にカビがいっぱい生えていました。 原因と対処方法を教えてください。

一般にカビは湿度の高い梅雨時期によく生えますが、最近、湿度が低いはずの冬場にカビが生えたとの苦情が多く寄せられます。
タンスが置かれている環境を伺うと、殆どが鉄筋コンクリート造りの建物で、壁面にタンスを密着させて置かれています。
壁を触るとわかるように、コンクリート壁は外気温がそのまま伝わり、冬は非常に冷たくなっています。ところが、室内では暖房をかけるので温かく、温度差により結露現象が生じます。 ひどい時には、壁が汗をかいたように水滴がいっぱい付着しています。そうした壁面に家具を密着させて置くと、木材が水分を吸収してタンスの中までもカビが生えてきます。
カビが生えるだけでなく、木材が膨張して変形したり、引出しが開かなくなることもあります。
対処の方法は、壁から10㎝程度離して家具を設置し、風通しをよくします。時には、窓を開けて空気の入れ替えも必要です。
カビが生えたところは、市販の家庭用カビ取り剤(主成分=次亜塩素酸ナトリウム)を水で薄め、布に浸して拭き取って下さい。
なお、カビ取り剤の濃度はカビの色により、白っぽいものは濃度を薄く、緑や黒っぽいものは濃度を濃くしてお使い下さい。

家具の裏板に小さな穴が無数にあき、木の粉が落ちいてました。虫が喰っているのでしょうか?対処の方法をお教えください。

木材の食害虫として代表的なものに、テッポウムシ、ヒラタキクイムシ、シロアリなどがいます。
テッポウムシは、カミキリ科の幼虫で、樹木(立ち木)の段階で卵が産み付けられ、一年以内に成虫となり、材から飛び出す時に穴をあけ、そこから木粉が出て虫害を知ります。 虫穴は、他と比べて大きく、無数にあけることはありません。 主に生木に卵を生むので繰り返し被害を受けることはありません。
ヒラタキクイムシは、広葉樹のラワンや楢を好み、細かい粉を多量に排出しながら木目に沿って喰い荒らします。5月~6月頃が最も活動が盛んです。建材などから移ったり、他へも被害が広がる恐れがあるので、殺虫が必要です。
シロアリは、家屋の柱や床材などを集団で食い荒らし、家具にまで被害が及ぶようであれば一大事です。 退治するには、アリの巣を見つけて撃退しなければなりません。
他にシバンムシなどがいますが、これは相当年月が経過し、乾燥した古い木材(建物の梁や柱、床、屋根、及び家具など)を喰うので、買って10年、20年の家具が被害に遭うことはないと思います。
殺虫方法としては、市販のキクイムシ、シロアリ退治用の殺虫剤により、長いノズルの先端を虫穴に挿入してスプレーします。 しかし、材の奥深くにいる場合や卵、サナギの状態では効き目が薄く、こまめに何度も殺虫することが望ましい。

タンスの金具が壊れ、修理を依頼しようと購入した販売店を尋ねたら、倒産していて連絡がつきません。どうしたら良いでしょうか?

金具は色んな種類やサイズがあり、同じ物を探すのは大変です。家具を製造したメーカーに問い合わせて、同じ物を取り寄せるのがベストです。
製造メーカー名は、タンス内部の右上隅に貼ってある品質表示ラベルに記載されています。そのラベルは、家庭用品品質表示法に基づいてタンス類、イス・テーブル類 (棚物類は任意) に表示が義務付けられています。製造メーカー名と連絡先が直接記載されている場合もありますが、産地組合名と管理番号を記載している場合もあります。その場合は、記載してある産地組合に管理番号を問い合わせるとメーカー名を教えてくれます。
但し、平成9年以前のタンスの殆どは、通産省承認の製造者番号しか記載していないで、その場合は、(社)日本家具産業振興会 (TEL 03-3261-2801) に番号を問い合わせると製造メーカーを教えてくれます。
(この品質表示は、輸入業者や販売業者が表示することも認められています。)